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このドラマ解説にあたり以下の点にご留意ください。
・登場人物、地名の日本語表記及び聖書引用は主として日本聖書教会「新共同訳」に準拠します。
・脚色の多いドラマです。混乱を避けるために聖書に実際に登場するシーン、人物名は白色で記載します。
そうでない部分は聖書に明記されていないことをご了承ください。
シーズン2エピソード2「I Saw You(私はあなたを見ていました)」はこちらからご覧になれます。←Click!!
②の続きです。
朝になりました。
女性陣のテントではマグダラのマリア(Mary Magdalene)とラマ(Ramah)が昨日のことを話しています。自分たちも彼らのように聖書の預言を暗唱出来たら、いや出来るようになって皆に追いつかなくては…でもどうやって?当時学校で学べたのは男子だけでした。ラマは読み書きも出来ません。私が教えてあげる、いい考えがあるからとマリアは約束します。
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昨日の濡れた薪がだいぶ良い状態になっています。手入れをしてくれたお礼をシモン(Simon)がフィリポ(Philip)に言うと「やったのはマタイ(Mathew)だ。」と彼にお礼を言うように皆に勧めます。明るく話し上手なフィリポはあっという間に輪の中心となり、シモンはちょっと面白くありません。
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マタイは木の根元に腰かけて一人何かを一所懸命書いています。タダイ(Thaddeus)が近づき話しかけます。あの新入りは良い奴だな。フィリポに感化されてタダイも少しマタイと仲良くしようとしているようです。マタイはこれまでのイエス(Jesus)の言動、ここで起こった出来事を毎日記録しているのです。
しかしシモンは気に入りません。記録なんていう余計なことをするな。敵に中傷のチャンスを与えるようなものだ。徴税人時代のように、スパイになって先生や俺たちの言動を逐一ローマに報告する気なのか?!
マタイは毅然と言い返します。「他の人は過去のことで私たちを判断するけれど、私たちは違います。あのお方(イエス)のお陰で。」鋭く指摘されてシモンは黙ってしまいます。記録するなというシモンの意見も間違ってはいないよ、な、とタダイはやんわり仲裁します。
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一行は北へ向かって出発しました。シモンが皆の様子を見ながらリードします。最後尾はイエスとアンデレ(Andrew)です。弟を体よく追い払い、シモンはイエスに相談します。
日に日に仲間が増えてグループが大きくなっていく、もう少し組織立ててきちんとグループを整えてはいかがでしょうか。中には足を引っ張るのもいる、とやんわり中傷しますがイエスは、もしそれでペースが落ちるのであればシモンが歩みを遅くすれば良い、と答えます。
いつかきちんと組織立てる時は必要になる。その時、リーダーの素質のあるあなたには大きな役割を担ってもらうだろう。でも今はまだその時ではない、私がいるうちはその必要はない、というイエスの言葉にシモンは狼狽します。私がいるうちって、いつかあなたはいなくなってしまうのですか?
そのことは後で話しましょう。いつ?というシモンの問いをはぐらかしイエスは最後尾から先頭へ向かいます。
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一人で歩くマタイにマリアとラマが近づきます。聖書の勉強をしたいから、あなたの筆記用具を貸してくれない?まずはラマの読み書きの勉強から。聖書は自分も勉強したいマタイはフィリポにも教えてもらおう、フィリポに聞いてみよう、フィリポに…とフィリポのことばかり。だって彼は親切ですから、あ、それとタダイも。
あなたが心許せるのは二人だけなの?…とちょっと残念そうにマリアは苦笑します。
恋人の向学心に少し焦るのはトマス(Thomas)。マタイはやっぱりフィリポに相談しています。
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カイサリア(Caesarea)の町に到着、フィリポは早速旧友を訪ねます。荒み切ったナタナエル(Nathanael)の姿に驚きつつ、事情を聞いて慰めます。語り合う中でフィリポは新しい師についたこと、前の師はこの方のために弟子を整えていたのだとナタナエルに告げます。ナザレ(Nazareth)のイエス、この方こそ約束のメシア(Messiah)だ。
ナザレ?あんなところから何か良いものが出るはずがない。馬鹿を言うなとナタナエルは笑います。田舎の下層民が住むところじゃないか。そんなところからメシアが誕生するなんて異端的だ。
とにかく、来て見てみろとフィリポは食い下がります。ずっと神に仕えたい、神の子に会いたいとお前は言っていたじゃないか。後悔はさせない、お前はきっとあの方に会えば彼に従うだろう。
いつもふざけた調子のフィリポが真剣に話すのに打たれてナタナエルはイエスに会うことを承諾します。
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その晩、フィリポはイエスとナタナエルを引き合わせます。
ああ、真実を語る人ですね。とイエスはナタナエルに向かって言いました。イスラエル人の祖、ヤコブは詐欺師まがいのことをした(彼は兄を出し抜いて父親をだまし、家督を奪ったことがあります)あなたはその子孫、真のイスラエル人でありながら何の偽りもない人だ。
え?何?ナザレの悪口を言っていることがバレた?フィリポ、お前何を言ったんだ?慌てるナタナエルにイエスは続けます。私はフィリポが「来て見てみろ」という前からあなたのことを知っています。あなたがどん底で孤独だった時、私はあなたから顔を隠してはいない。私はイチジクの木の下にいたあなたを見ていました。
自分のことをすべて見て、知ってくれていた…ナタナエルは「あなたこそ神の子、イスラエルの王です」と感動にうち震えながらイエスに応答しました。「ほら見ろ!」と大喜びのフィリポ。
イエスは答えて言われた。「いちじくの木の下にあなたがいるのを見たと言ったので、信じるのか。もっと偉大なことをあなたは見ることになる。」(ヨハネによる福音書1:50)
シモンとアンデレがやって来て、目的地ではすでに大勢の人があなたを待っています。明日は早く出発しなくては、もうお休みください、と声を掛けます。
歌と祈りが満ち、魂が神に近づくもの。早速明日から築き始めようとイエスはナタナエルに告げるのでした。