レントとカーニバル

 









By Marie-Claire,1982
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2020年は226日からレントに入ります。レントは日本語では「四旬節」と言います。四旬とは40のことで、イースターの40日前という意味です。ただ、40日を数える際に日曜日を抜かしているので厳密にカレンダー上では46日前になります。
 
 クリスマスと違い、イースターは毎年日付が変わります。「春分の日の直後の満月の次の日曜日」と決まっており(ややこしい…)2020年は412日がイースターです。従ってレントもそれに合わせて始まる日が毎年変わります。
 
 聖書の中では40とは大切な数字であり、大事なことの準備期間はたいてい40日間です。このレントの40日間はイースターを迎える大切な準備の時です。イエス・キリストが私たちの身代わりに十字架に掛かられ、死なれ、そしてよみがえられることを心して祈りながら過ごします。イエスさまの十字架の苦しみを思うために、この時期は食生活を節制したり、お祝い事を自粛する人もいます。また、節制して浮いたお金を寄付したり、慈善活動などに活用する方もいるそうです。昔はかなり厳しく節制を求められていましたが、現代ではだいぶ緩和され、宗派や個人の考え方でやり方も異なっています。
 
 日曜日は礼拝の日であり、礼拝はイエス・キリストの復活を喜ぶイースターに準じる喜びの時なので、レント期間の勘定に入れません。この期間も日曜日だけは喜びの日として過ごします。イースターから日曜日を除く40日間を逆算すると、レントの始まりは必ず水曜日です。この日は「灰の水曜日」と呼ばれ、カトリック教会では特別なミサが持たれます。悲しみの象徴である灰を額に塗ってもらい、これから始まる40日間を厳粛な思いで過ごせるよう気持ちを整えます。
 
 レント最後の一週間はイエス・キリストが十字架に掛かられる週であるため「受難週」と呼びます。「13日の金曜日」がある週です。(実際は「13」日は何の関係もありません。単に後から不吉な数字をくっつけただけだそうです)前日の木曜日が「最後の晩餐」の日です。キリスト教会ではこの2日間に特別なお祈りの会や礼拝を持つことが多いです。イエス・キリストが十字架に掛かられた、それが自分たち人間を救うためであった、ということを厳粛に受け止め、感謝する時です。
 
 余談ですが、わが家ではこの受難週の一週間は菜食、禁アルコール、禁チョコレート、とちょっとだけ厳しくしています。(私的には禁チョコが一番辛いのです 笑)お子さんのいる家庭ではゲーム禁止(または時間短縮)、テレビを見ない、などという節制の仕方もあるそうです。
 
 さて、節制に入る前に食糧庫を空っぽにするために、レントに入る前日の火曜日はご馳走を食べて賑やかに過ごす習慣が古くからあります。これが「カーニバル(謝肉祭)」です。他にも「マルディ・グラ(肥えた火曜日)」また先日皆さんも楽しまれた「パンケーキ・デー」などの形で同様のイベントが世界各地で行われています。
 
 ベルギーでも世界遺産となったバンシュをはじめ、各地でカーニバルが開かれます。楽しく過ごした後は、静かにイエスさまの十字架を思いつつ過ごし、イースターを待ち望むのはいかがでしょうか。